道大会新23安打で駒苫撃破した立命館慶祥 1年の横谷が代打高校デビューで初球逆転打【春季全道大会】
■春季全道高校野球1回戦 駒大苫小牧10ー11立命館慶祥(5月24日、札幌円山)
1点差の八回1死二、三塁で代打出場 初スイングで左越えに運ぶ2点適時逆転二塁打
7年ぶり出場の立命館慶祥は、4番・佐藤哲平三塁手(3年)が4安打4打点するなど、3季通じて道大会新の1試合23安打の猛打で駒大苫小牧との乱打戦を制した。試合を決めたのは、1点差に追い付いた八回裏1死二、三塁で代打で高校デビューした1年生の横谷塁。初球を左越えに運ぶ2点適時二塁打で試合をひっくり返し、優勝した2009年以来の春1勝を手にした。
支部予選はスタンドで応援 全道大会からベンチメンバー抜擢
札幌支部大会では「スタンド(応援)で踊ってました」という横谷が、公式戦初打席初スイングでチームを勝利に導いた。併殺打を打ってしまえばゲームセットの場面。「すごく緊張しました。ストライクが来たら絶対フルスイングで出てこうと思ってました」と、1球目のカーブを逆らわずに逆方向へ運ぶと、打球は風に乗って左翼手の頭上を越え2者が生還。二塁に到達して逆転を確認すると、味方ベンチへ向かって、右手を何度も尽きだした。
主砲の佐藤も「1年生なのかな 自信を持ってバットを振っている」
七回までリードしていたが、八回に大量6点を失い6ー10。4点差をつけられても諦めなかった打線が横谷の逆転打をお膳立てした。先頭の2番・田家天太朗左翼手(3年)の内野安打から3連打でまずは1点を奪い5点差。1死挟んで、途中出場の6番・笹川晃生右翼手(3年)から再び連打でさらに2点を追加し、ついに1点差。押せ押せムードで横谷に出番が巡ってきた。横谷は「先輩たちは長打とかバンバン打ってるんで、自分も負けないように練習して、自分もその打線の中で、目立った活躍ができるように頑張っていきたい」。4安打の主砲・佐藤は「1年生なのかなっていうぐらい、自信を持ってバットを振ってますし、もうすごいです」と、頼もしい後輩に一目置く。
「北キツネ打線が最後に爆発してくれてよかった」横山監督
横山蔵人監督(62)は「もうダメかと思ったんですけどね、北キツネ打線が最後に爆発してくれてよかったです」。横谷の起用に関しては「期待の1年生。この大会で1回は、使いたいなと思ったんですけどね。大事な場面で出て、緊張もしてたんでしょうけども、思いっきりを打ってくれて、ナイスバッティングでしたね」。指揮官の采配がずばり的中。期待通りの活躍に表情を崩した。
苫小牧青翔中3年時、この日対戦した地元の駒大苫小牧からも声がかかったが「野球だけじゃなくて、今まで勉強もやってきたんで、両立できるところって考えたら、立命館が自分に合ってるかな」と、進学を決意した。朝練参加のために、沼ノ端から約1時間かけて通学するが「最初の方は辛かったんですけど、だいぶ慣れてきました」。チームでも上位の俊足と、逆方向への強い打球に磨きをかけている。
中学時代のライバルからも刺激 甲子園での再会を夢見て 春をステップに夏に繋げる
苫小牧・拓勇小6年時にはファイターズジュニアに選出。中学の苫小牧リトルシニアでは2021年12月の北海道選抜に選ばれた。沖縄遠征では、群馬・高崎健康福祉大高崎で春から公式戦で登板する洞爺湖リトルシニア出身の石垣元気投手(1年)と一緒だった。この日、石垣は春季関東大会準々決勝に先発し7回無失点の好投。「対戦した時は、自分も負けないで、打っていけたらいい」と、中学時代のライバルの活躍に刺激を受け、甲子園での再会を夢見る。
その夢を叶えるためにも、この春をステップに夏に繋げる。毎日の行き帰りの車窓からは、夏の南北海道準決勝、決勝が行われるエスコンフィールド北海道が目に飛び込んでくる。「そこで、自分がやってる時の想像とかしたら、ワクワクする。今は試合に出させてもらって、ちょっとずつ段階を踏んでるところ。おごらず、努力して、できることはしていきたい」。再び快音を響かせるために、自らを磨き続ける。