■ルヴァン杯グループステージ第５節　札幌３－２横浜Ｍ（５月２４日、札幌ドーム）

約８カ月ぶりに戦列復帰　「まずは無事に終われて良かった」

　昨年９月の右膝前十字靱帯断裂の大ケガからＭＦ深井一希（２８）が、約８カ月ぶりに公式戦出場を果たした。

　「まずは無事に終われて良かった」。戦前からの予定通り、前半４５分のみのプレーとなったが、「自分的にはリードして折り返すか、せめて同点で後半に引き渡すっていう目標でした。プレーの内容はまだまだでしたけど、そこに関しては役目を果たせたかな」と、無事に自身の務めを果たせたことで安堵の表情を浮かべた。

試合前、ピッチの円陣に向かう途中にはチャントと深井コール

　待ち望んでいた瞬間だった。キックオフ直前、ゲームキャプテンを務めた深井がコイントスを終え、試合前の円陣を組むために札幌陣内へ歩み始めると、ゴール裏の札幌サポーターからは深井のチャント（応援歌）、そして深井コールが贈られた。「毎回、本当にありがたいですし、今日もたくさん応援していただいたので、今後もっともっとそれに応えていけるように頑張っていきたい」。２０１７年から歌われ続けている深井のチャント。曲ができてから２度目となってしまった前十字靱帯断裂を乗り越えて、その歌詞の中にもある〝不屈の男〟は、再びサポーターの歌声を背に、戦いの場へと歩みを進めていった。

離脱中に連絡を取り合っていた宮市と試合後に言葉を交わし　健闘たたえ合う

　同じ苦しみを乗り越えた戦友もまた、ピッチへと戻ってきた。昨年７月に、深井と同じく右膝前十字靱帯を断裂した横浜ＭのＦＷ宮市亮（３０）が、後半３７分に約１０カ月ぶりの公式戦出場を果たした。深井は既にピッチを退いていたため、ピッチ上での共演とはならなかったが、無事に２人揃ってリスタートを切ることができた。試合後には「連絡ありがとうございます。お互い無事に終われて良かったですね」と会話を交わしたことを明かした。

宮市「何度も何度もケガを経て戻ってくる姿に、僕自身すごく勇気づけられました」

　宮市も深井について「彼も僕がケガをしたときにエールを送ってくれましたし、彼の何度も何度もケガを経て戻ってくる姿に、僕自身すごく勇気づけられました」とリスペクトを口にする。「お互いの復帰の時期が一緒になったということも何かの縁かなと思います。２人ともケガ無く今後も現役を続けていきたい」。

　名将ミハイロ・ペトロヴィッチ監督（６５）も「日本代表になってもおかしくない能力がある選手」と称える深井は、リーグ戦上位を狙う札幌にとって欠かすことができない大事な存在だ。再び一歩を踏み出した背番号８が、好調札幌の勢いをさらに加速させていく。