逆輸入ルーキー加藤豪 1軍初昇格で即ヒット NPB初安打を新庄監督も祝福
■パ・リーグ11回戦 ソフトバンク1ー5日本ハム(5月25日、エスコンフィールド北海道)
二回の第1打席でいきなり打った 鮮やかに中前打
日本ハムのドラフト3位・加藤豪将内野手(28)が25日、エスコンフィールド北海道で行われたソフトバンク戦に「6番・二塁」で先発出場。二回の第1打席で相手先発・ガンケルの直球を捉え、NPB初安打となる中前打を記録した。この日1軍に初昇格した背番号3は、新たな挑戦の舞台で大きな一歩を踏み出した。
記念球を高々と掲げた新庄監督 加藤豪「本当に感謝の気持ちです」
「I'm invincible(俺は無敵だ)」。自らに魔法の言葉をかけて打席へと歩みを進めた。逆輸入ルーキーは鮮烈な一打を放ち、日本でのデビュー戦に花を添えた。快音の瞬間を見届けた新庄監督は、直後にベンチ前で両手を振り上げてアピール。相手守備陣から記念球を受け取ると、ボールを持つ右手を高々と突き上げた。
一連の光景を目撃した加藤豪は「ダッグアウトを見た時に、いろんな人が喜んでくれてうれしくなった。新庄監督がドラフトしてくれなかったら、僕はここにいない。どんなに初安打が大事なのかというのは監督も分かっている。本当に感謝の気持ちです」と指揮官の粋な行動に感激した。
悔し涙を流した負傷時 すぐに離脱期間を有効活用
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日本で始まった第2の野球人生は苦難のスタートとなった。3月中旬に右脇腹を負傷し、開幕目前に1軍からの離脱を余儀なくされた。病院で右腹斜筋の肉離れと診断された夜は、人知れず涙を流し、眠れない夜を過ごした。異国の地で一時は失意のどん底まで落ちたが、立ち直りも早かった。「初めての大きなケガ。3カ月間、野球ができなかったのは人生初」。突然訪れた試練の時を有効に活用した。
打撃に費やす時間を「趣味」と表現する。リハビリ期間中は「体を動かせないなら頭を動かせばいい」と気持ちを切り替え、毎日のように自身のiPadで食い入るように動画を見つめた。「浅間の映像だけを延々、4時間ぐらい見た日もありました。どういう意識で打っているのか気になるところもあったので、次の日すぐに話を聞きにいきました」と、チームメートを質問攻めにした日もあった。
チーム内外にかかわらず好打者を研究 ロッテ荻野の動画にくぎ付け
他球団でも、好打者だと直感した選手はとことん研究した。偶然、同じトレーニング施設に通っていたロッテの荻野がその一人だ。「施設で体のテストをしたら、荻野さんと同じような結果が出て、参考になることが多かった。それから動画を1週間くらいずっと見ました。最近の映像を繰り返し、繰り返し。左足を結構上げて回るように振るんです。右打者ではマツゴウさん(松本剛)とかも同じ感じ。それを、どうやったら左打者に当てはめられるのかを考えていました」。メジャーを経験しても謙虚さを忘れず、貪欲に成長を追い求めている。
好スタートを実感しつつ 「シーズンは長いですから、ここからです」
過信や慢心はない。純粋な心で、日本での成功を夢見ている。メモリアルな一打も、長い野球人生の通過点だ。「こっちにきて不安だらけだったけど、緊張がすごい中で打てた。苦労の中で打ったヒットなので本当に大事にします。きょう僕の開幕戦は終わった。シーズンは長いですから、ここからです」。不屈の魂を持つ男が、いよいよベールを脱ぎ捨てた。
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