昨夏のリトルシニア全国8強右腕 札幌大谷の怪物1年生・瀬尾が138キロデビュー【春季全道大会】
■春季全道高校野球1回戦 岩見沢東2-6札幌大谷(5月26日、札幌円山)
五回から4イニング無失点
札幌大谷の背番号18を背負う瀬尾心之介(1年)が、五回から4回無失点デビューを果たした。昨夏、中高一貫の札幌大谷中でリトルシニア日本選手権初の全国8強入りに導いた将来有望な180センチの大型右腕。最速138キロの速球を武器に、高校の大会でも堂々とした投球を披露した。
現ロッテ・菊地以来の1年生マウンド
同校で1年生が春の全道で登板するのは、2016年に当時エースナンバーを背負い、専大からドラフト1位でロッテ入りした菊地吏玖投手(22)以来。中学時代は全国大会の登板経験がある瀬尾だったが、高校生になって初めて上がる札幌円山のマウンドはどきどきだった。「初めて人がいっぱいいる中で投げて緊張したけど、自分の投球が出来た。伸びのある真っすぐに自信がある。しっかり投げられていた」。自己最速を2キロ更新する138キロをマーク。七回に3連打を浴び無死満塁のピンチも「ちょっと焦ったけど、しっかり自分の投球をしよう」と冷静に対処。先輩たちの好守もあり無失点で切り抜け、与えられた任務を全うした。
船尾監督「夏に向け、田代、菊池以外に2人準備したい」
豊富な投手陣を擁するが、1年生を抜てきしたのには理由がある。船尾隆広監督(51)は「やっぱり夏に向け、田代、菊地以外のところでもう1人ないし、2人は準備しておきたい」。先を見据えた経験ではなく、2年連続の夏の甲子園出場に向けた即戦力としての可能性を見極めるための起用。打たれた4安打は全て単打。「コントロールで乱れるところがない。三振をバンバン取るピッチャーでもないので、打ち取る投球が持ち味。きょうはそれができた」と合格点を与えた。
中高一貫の利点を十二分に受け成長
瀬尾が中高一貫の札幌大谷を選んだのは、ずばり環境だ。「他のシニアだと毎日できないけど、大谷中だと毎日硬式野球ができる」。市内のグラウンドは大学から中学まで同じ敷地内に各専用球場がある。学校が終わると専用バスで移動。部活動として打ち込める環境に魅力を感じた。
昨年8月のリトルシニア日本選手権1回戦・海老名戦で先発し5回1失点で全国初勝利に貢献した。さらに2回戦では春の選抜大会優勝の世田谷西をタイブレークの末に撃破。準々決勝で敗れたが、瀬尾は「エースで4番、主将」の3刀流でチームの大黒柱として活躍した。準々決勝敗退後は、すぐに神宮球場から甲子園へ移動。3日後に行われた札幌大谷-二松学舎大付戦を高校の先輩らとアルプススタンドから観戦。聖地への憧れは一段と強くなった。
さらに中高一貫校の場合、中学3年の夏が終わると、高校生と一緒に練習することが認められている。「高校野球は7回から9回(制)になるので秋から体験できたのは大きかった」。さらに高校進学に備え「冬の体づくりをしっかりやっていました」。昨夏から7キロ増の80キロへ成長。身長も3センチ伸び、球速もアップ。札幌支部予選からユニホームを与えられた。「1年生の春からベンチに入って試合に出ていい経験。来年、再来年に向けて夏に繋げていきたい」。可能性無限大のルーキーの成長曲線が右肩上がりにカーブを描いていく。