新庄監督「一歩半くらい速度を緩めた」リクエスト成功の裏にあった今月18日の中日対阪神戦
■パ・リーグ11回戦 日本ハム3-1楽天(5月27日、楽天モバイルパーク宮城)
リクエスト成功に会心の笑み わずかな隙も見逃さない鋭い洞察力が戦況を左右
決して偶然ではない。日本ハムベンチのリクエスト成功が、戦況を左右した。27日に楽天モバイルパークで行われた楽天戦の三回の守備。リプレー検証の結果、本塁生還の判定が覆り、無得点がアナウンスされると、新庄剛志監督(51)は会心の笑みを浮かべた。わずかな隙も見逃さない。鋭い洞察力で、幸運を引き寄せた。
三塁憤死と本塁生還のわずかな差を見極め「あれ? サードが早いなと。0.3、0.4ミリ」
三回2死一、二塁。浅村の左前打で、二走の小深田が悠々と生還した。同時に一走の辰己が三塁を狙い、打球を処理した松本剛の好返球で補殺が記録された。この時点で楽天の得点は認められていたが、焦点は、本塁生還と三塁手・野村のタッチ、どちらが早いか―。すかさず、リプレー検証を要求した新庄監督には確信があった。「あれ? サード(の補殺)が早いなと。0.3、0.4ミリ(ぐらいの微差)。(小深田が本塁を踏む前に)ちょっと浮いていたから。一歩半くらい(速度を)緩めたんですよね」
中日の阪神戦で起きた同様のミスを自チームでも警戒 翌日には…
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伏線はあった。今月18日の中日対阪神。2塁から生還を試みた中日の石川昂が本塁手前で減速。一走の三塁憤死が早いと判定され、得点にならなかった。最悪の事態を想定し、全力で駆け抜けるのが基本。同様のミスを警戒した新庄監督は翌19日に「こういうことがないように」と選手らに伝達していた。
好返球の松本剛「運が良かった。ファイターズはああいうことがないように」
素早い動作と正確な送球が光った松本剛は「僕はサードで殺しにいっただけ。1点で防げてよかったなという感覚。ホームより早くアウトになったのは、運が良かった」と振り返った。当然、中日の失態や新庄監督の指示は、頭にあった。
2点差のままか、1点差に迫られるか。勝敗にかかわる重要な場面だった。選手会長としてもワンプレーの怖さを再認識し「難しいことではない。余裕がどうしても生まれてしまうのは事実だけど、そこで隙を見せないように。ファイターズはああいうことがないように、僕自身も気をつけないといけない。余裕でホームはセーフでも、最後まで駆け抜けるという意識でやっていきたい」と肝に銘じていた。
「怠慢」と批判されてもおかしくないプレーが、両リーグの下位チームで起きた。少しの油断が命取りになる。他球団の失態を対岸の火事として流さず、教訓にしたことで、好結果が生まれた。