高校野球
2023/05/27 20:15

立命館慶祥・正津 史上初のサイクル安打達成「自分が名前を残せたのはすごくうれしい」【春季全道大会】

八回、中堅への二塁打を放ち、サイクル安打を達成した立命館慶祥の正津葵捕手(撮影・十島功)

■春季全道高校野球準々決勝 立命館慶祥9-2白樺学園 ※八回コールド(5月27日、札幌円山)

 立命館慶祥の女房役が歴史に名を刻んだ。3番で先発した正津葵捕手(3年)が白樺学園戦で春季全道大会史上初のサイクル安打を達成した。4安打2打点でコールド勝ちした打線をけん引。主軸としてこれ以上ない躍動ぶりに、「冬にバッティングの練習をずっとやってきたので、その成果が強い相手の中で出せた」と笑顔を見せた。

一回中前打、四回三塁打、六回本塁打、八回二塁打

 快音を次々と響かせた。一回の中前打を皮切りに、四回は右越え三塁打、六回には自身公式戦2本目、高校通算14本目となる本塁打をバックスクリーンにたたき込んだ。二塁打でサイクル安打達成となる八回の第5打席は、2ストライクからの5球目を中堅右に運び悠々と二塁を陥れた。

「『サイクルおめでとう』って言われて知った」

 史上初の快挙だったが、正津自身は気付いていなかった。「二塁打を打って、ベンチに帰ってきて、木村(隼人)先生から『サイクルおめでとう』って言われて知りました。(打席前は)何も知らなかったです」とはにかみ、「北海道でも過去に素晴らしい選手がたくさんいた中で、自分が名前を残せたのはすごくうれしい」と素直に喜んだ。

「自分に求められているのはホームラン」

 捕手としての思考が自分の生きる道を示してくれた。守備側から考えると中軸に長打があると自ずと警戒度は高くなる。正津は「自分に求められているのはホームラン。ホームランが出なければ自分にとって調子がいいわけではない」と言い切る。「1、2番の出塁率が高い。そこで一発が出ると3ランとか、自分と勝負を避けたら後ろに得点圏打率の高い佐藤(哲平)がいるので、自分に求められているのは長打かなと思います」。

 相手から恐れられる長打力を身に付けるため、冬の間は自身で購入した1キロのバットを振り込んだ。常に〝相棒〟を手放さず、マシン打撃、ティー打撃などを重ねてスイングスピード向上に努めた。その効果はてきめんだった。体のキレが増し、速い直球にも振り負けなくなった。

「野球人生はあと1カ月ちょっと」

 自ら課題を見つけて潰すことができる思考力も正津の武器。横山蔵人監督(62)も「賢い子」と評価する。入学時は東大や京大などの最難関大学を目指すSPコースに進学した。今年から進路の幅を広げるために難関大コースに変更したが、勉学に励むことに変わりない。「野球でも勉強でも負けたくない」とプライドを覗かせた。現状では大学でも野球を続ける予定はない。「野球人生はあと1カ月ちょっと。最後は野球に全てをと思ってやっています」。並々ならぬ闘志を燃やして、優勝した2009年大会以来の決勝進出を狙う。

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