先発転向後も好投続く北山 裏にあった金子特命コーチからの助言
■パ・リーグ12回戦 日本ハム2-3楽天(5月28日、楽天モバイルパーク宮城)
プロ最長7回も1失点の好投 自らの判断で三回以降は走者なしでもクイック投法
修正力が光った。日本ハムの北山亘基投手(24)が28日、楽天モバイルパーク宮城で行われた楽天戦に先発し、プロ最長の7回を投げ1失点と好投した。一、二回を先頭に四球を出しつつ無失点で切り抜けると、三回以降は自らの判断で、走者なしでもクイック投法を選択。その後は尻上がりに調子を上げ、楽天打線を封じ込めた。
建山コーチから「クイックで投げたときが一番良いボール」と指摘されたのを思いだし修正
「一、二回で二塁に走者を背負ったときに、クイックがだいぶ安定していた。前の試合の段階で、建山コーチから『クイックで投げたときが、一番良いボールいっているよ』という話をもらっていたので、それも頭に入っていた。そのままズルズル、フォアボールを出すぐらいだったら、思い切って走者がいなくてもそれ(クイック)でいこうと、修正する技の一つとして変えました。結果、ある程度いい形でまとまったので、それは良かったと思います」
「負けてしまうと何も価値がなかったことになる。次は勝ちをより引き寄せられるように」
この日は降板後にチームが逆転負けを喫し、白星は消えた。「僕がいいピッチングをしても、チームが負けてしまうと何も価値がなかったことになると思う。次はチームの勝ちをより引き寄せられるような、勢いづけられるようなピッチングができるように、しっかりやっていきたい」と、さらなる高みを見据えた。
先発転向後は4試合2勝1敗 防御率1・99
今季途中に先発転向後、ここまで4試合で22回⅔を投げ、2勝1敗、防御率1・99。今月4日の西武戦では6回無安打無失点の快投を見せるなど、適性を示している。配置転換直後から活躍を続ける裏には、先発調整のため鎌ケ谷で過ごした期間に金子特命コーチからもらったアドバイスがある。
最も憧れる金子コーチの鎌ケ谷滞在と自身の2軍調整期間が偶然重なり エキス吸収
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北山にとって、金子千尋は最も憧れた投手だ。「僕の中では一番尊敬しているピッチャー。高校生の時の雑誌の取材でも、好きな選手は金子さんって言っていました。本当に憧れていた。面と向かってアドバイスをもらって、今、金子千尋さんにアドバイスをもらっているって、5、6年前じゃ考えられない、すごいありがたいことだなと思っていた。小学生の時からキャッチボールでモノマネしてました」
『変化球で攻める』 先発として必要な考え方を聞き 今の北山にとっての金言を授かる
偶然にも今季、自身の2軍調整期間と、金子特命コーチの鎌ケ谷滞在期間が重なった。千載一遇のチャンスを逃す手はない。北山は自ら積極的に質問し、沢村賞投手のエキスを吸収した。「先発をする上で、今後必要なこと、考え方だったりを聞いた。自分の能力がどうこうというより、今持っている力をどういう捉え方で発揮するのか、どういうふうに考えれば結果につながるかという、ピッチングに関する話をしてもらいました。『変化球で攻める』っていう言葉が印象に残っています。今まではイニングも短い中だったので、真っすぐ主体で変化球はボールゾーンに投げて振ってもらう、かわすイメージだった。『変化球で攻める』って考えたら、ストライクゾーンでも勝負していけるし、カウント球にも使える。変化球の捉え方をかわすボールから攻めるボールに変えていくと、一つ掴むものがあるんじゃないかなと言っていただいて、すごいなと。本当にありがたいです。今、僕に必要なことを言っていただいた。その意識でやっていきたい」
「あれだけ実績がある人なのに、それを出さないところも本当にすごい」
今、金子コーチへの憧れはより一層強まっている。「めちゃくちゃ親身になって教えてくれますし、あれだけ実績がある人なのに、それを出さないところも本当にすごい。去年まだ金子さんが現役だったときも見させていただいて、誰よりも練習をひたむきにされていましたし、技術的なところはもちろん、参考にさせてもらうところはたくさんあるんですけど、それ以上に取り組み方とか、立ち振る舞い、姿勢の方がすごい参考になる。そういうところを参考にしないといけないなと思った。ルーキーの僕なんか普通は構っている暇はないというか、金子さんにメリットは何もないと思うんですけど、でも嫌な顔も一切されなかったですし、前向きにアドバイスいただいたり、自分のストレッチを中断してでもいろいろ教えてくれた。面倒な顔は一切しなかった。もともと憧れていて、近くでやらせてもらって、より一層憧れた。すごいピッチャー。僕もそういうところを目指していきたい。そういう取り組みをしていれば、チームにも後輩にもいい影響を与えられる」
金子コーチのような偉大な投手を目指す北山の挑戦は、まだ始まったばかりだ。